あっという間に壊れてしまうもの、回復

 18日の続き。夜、まだ確執は続く。夕食にラーメンを煮てから話す。不穏な言葉。落涙。思うことを伝える。まだ解けない。考えたくなかった言葉。台所の冷たく硬い床に寝ころがる。オイルヒーターを出してきて着けたり。深夜、様々な思いが頭に浮かぶ。死ぬほどの後悔。色の無い未来。自分はとうとう本当に生きる価値の無い人間になってしまったんだ。2019年は自分にとって厄年であり、ようやくそれが開けたと思っていたのだが、まだまだ継続中で、ここへ来て最大の厄が訪れた。起き上がって思わず嗚咽。号泣。水を飲ませてもらって布団に寝る。感謝。他のこと、例えば文学的達成などどうでもよい。これまでの小さな生活の幸せだけを守ることに全力を注入しよう。もう迷わない、と、ほむらのような言葉を心に刻む。どうにか寝付く。

 19日つまり昨日。朝、瓦解。パンをトーストして食べる。外は快晴。洗濯。冷蔵庫に用意してあった発酵生クリームで自家製バター作りに着手。共同作業。ひたすら振る。すると見事に発酵バターが出来上がる。嬉しい。楽しい。食べるのが楽しみだ。ダラダラして昼食は一昨日の残りのカレーを使ったカレーチャーハン。激烈に美味い。ちょっと休んでからマスク作りに取りかかる。裁断と裁縫。途中で教わりながらけっこうな時間をかけて完成。そこでMさんが先に作ったマスクに誤りがあることが発覚。笑う。ほんの些細な会話から自分が高校生の頃に本屋で立ち読みをした雑誌に載っていた初めて読んだ町田康のエッセイが面白かったという話をする。こんなことを話すのは初めてだと思うが、そして、その直後に目を落とした文庫本に書かれていたのはまさにその23年前に自分が読んだエッセイそのものである。こんなことがあり得るのか。奇跡と呼ぶに相応しい邂逅。Mさんにも驚きを伝える。この人と一緒にいるとこういうことがたまに起こるのだ。だからこの人と一緒にいるのかもしれない。夕方に散髪。シャワーを浴びてから夕食は何日か前の残りのイワシの梅煮を使ったスパゲティ。これまたよく出来た。ビールなどは飲まずに焼酎や自家製のシードルを飲む。こうしていくんだ、自分は。油断をするとあっという間に離れてしまう。もう手放さないんだ。