千年一日の如く

 友人から村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の文庫上下巻を借りる。まだ全然読んでない。で、あらためていうと、僕は村上春樹がどうしても「わからない」のであって、というか『ノルウェーの森』と『1Q84』のbook2までしか読んだことがないのですが、しかし、どうしても面白いとは思えなかった、というか、別段不快だとも思えなかったので、今回の『世界の終わり~』を読んでみて、これの「良し悪し」が分からなかったらこれはもう自分には合わない作家なのだろうと。誰だったか忘れましたが、村上春樹の特徴を「翻訳可能な文体」としていた人がいて、なるほど、そうとするならば、僕の村上春樹のわからなさも自分で納得がいくのです。
 たまたまチャンネルを合わせたNHK教育西加奈子太宰治を紹介する番組をやっていたのですが、その中で西さんが太宰の小説を音読しているところがあり、それを聞いて僕は驚愕したしまったのです。というのも、西さんは関西の人(詳しい地方はわかりません)なので、太宰の文章も関西弁の発音で読んでおり、「このへんの書き方とかめっチゃおモろいと思ウんですよお」とか言ってて、それまで太宰の文章に親しんでいた自分の読み方がいかに特殊であったか(そもそも太宰は津軽の人ではなかったか!)が自明となり、そこで相当なショックを受けてしまった自分はやはり文章をかなりの割合で「音」として読んでいるということが分かったのでした。
 そこを敷衍してしまえば、もうね、自分が言葉で他者と完全になにかを共有しようなんてのはありえないのであって、だからこそ、きちんとやらねばなあと。なんかそんな感じです。無責任に放言したまま、今日も酔っ払ってしまいました。