憤怒

 ここのところわたしは怒っているのです。なにが? いえ、ワールドカップの日本代表の有り様にではありませんし、ずさんなエレベーター会社にでもありません。まあ順を追って話しますと、先日わたしは100円ショップに出掛けた際に10本入りのチューチュー(チューペットと呼ぶ人もいますが)を購入したのです。パッケージには「なかよくわけてたべてね」と書いてあり、仕事から帰った後に凍ったチューチューを二つに割ってしゃぶりついたらどんなにか爽快なことだろうと想像するといてもたってもおれず、即一袋抱えてレジに向かったものです。でもって帰宅後さっそく冷凍室、といってもウチの冷蔵庫はワンドアなので冷凍ゾーンと言うべきかもしれませんが、あそこにしまい込み、ホクホクとチューチューが凍るのを待ったのです。でもって、次の日、バイトから帰ってきてさっそく冷蔵庫を開けてみると、凍ってない。液体のまんま。なあんだよ、と気を落としながら、一度に10本全部入れたのが悪かったかといったん袋を開けて3本だけを冷凍室にしまい、なおかつ温度のレベルも上げて再び待つことにしました。が、次の日もチューチューはちっとも凍っておらず、次の日も、その次の日も……。一日ごとに温度のメモリを一つずつ上げたので遂に明日は冷蔵庫を最高レベルの温度設定にしなければなりません。膨大な電気代を消費してチューチューを凍らす為だけに。しかも、そうしたからといってそれでチューチューが凍るという確証はなく、つまり、わたしはチューチューを買ったはいいけれど、自分の家の冷蔵庫でそれを凍らす事ができないというあまりにも惨めな、見るに堪えない絶望を味わわなければならないかもしれないのです。わたしは怒っています。やり場のない怒りにただ拳を震わせています。天よ、日本代表の勝ち点よりも、まずわたしに凍ったチューチューを半分与え給え。