澁澤龍彦回顧展

 澁澤龍彦回顧展―ここちよいサロン@県立神奈川近代文学館、行ってきました。
 とはいえ、実はわたくし、澁澤龍彦のファンでもなんでもなく、あろうことか作品を「なにひとつ読んだこと無い」という有り様で、たまたま招待券を持っていたというだけであって、ま、こんな入り方もアリなんじゃない?くらいの気持ちで雨の降るなか(もちろん一人で)足を運んで行って参りました。
 結論として、行って良かったです。個人的に澁澤のような「怪奇趣味」(大雑把に言いすぎですが)には今はそれほど興味はないし、「昭和サロン」的な雰囲気もいかにもインテリの特権臭くて苦手なのですが、でも一人の文学者の生き方がとても魅力的に伝わる展示だったと思います。周囲の人間のあり方も含めて(つまりそれが「サロン」ってこと)。あと展示されていた原稿に見られる本人の筆跡が丸っこくて非常に人懐っこくて(往復書簡などで別の人のと比べるとそのブンガクしてない感じが明らか)はあこんな人だったんだ、だから様々な奇人(三島とか土方巽とか)からも慕われたんだねえと感じました。機会があったら実際の作品も読んでみようかなと。
 でもって、はっと思い出して地元の古本屋に寄ってみたら『犬狼都市』の復刻版が5000円で売られていました。買いませんでした。