再評価って言葉、なんか偉そうですが

 昨日の平岡氏に続いてあらためてすごいなと思ったシリーズ。まず、中原昌也の『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(河出文庫)。久しぶりに読んでて声出して笑いました。今更だけど(もう十年以上前の作品から)この人ほんとに「良い小説」なんて全然書く気ないじゃん。ページを開いて第一編冒頭の書き出し、

 ブラスバンドを加えての歌合戦。それは何ものにも代え難い程の本物の楽しさだろう。

安易な皮肉とか超越した圧倒的な「やる気のなさ」と、ぶっとんだ才能。ずっと前の暴力温泉芸者とかあらためて買って聴いてみようかな。
 あと三上寛。『コンサートライブ零弧徒1972』。昔はただ歌の迫力に「すげえ!」だけだったのが、ここ最近その歌声と詞にしみじみと涙が出るほどの感動を覚えます。「小便だらけの湖」とか「ひびけ電気釜!!」とかこの年にして胸が詰まるものがあります。ラストの「東京だよおっ母さん」はいうに及ばず。
 あと蛇足ながら今日気になったTVCM。豆が「カバの汗は赤い」って豆知識をしゃべるやつ。あの全体にみなぎる独特のムード(時間感覚)はなんなのでしょうか?