本の虫、でもない

 三日前から突然書き始めた短いお話(いちおう短編小説と呼ぶべきか)を書き終える。15枚。いやしかし、……奇怪である。自分でせっせこ書いておいて、出来上がってなおどこがどう面白いのかわからない。が、なにかが出来上がった、という、その一事が最大の重要事なのだといってみたりする。三年後に読んでみたら自分でも面白さがわかるかもしれない。あくまでも可能性の話。
 妙に時間があったので、買ってからずっと読まずにいた本に目を通す。ところどころシャーペンで線を引いたりする。おもろい。学生時代の恩師が、やはり本を読むときにメモをとる、ないしは書籍そのものに書き込みをすることの重要性を語りながら、その書き込みには決してボールペンを使わない、生理的に使えない、という話をしていて、その心は「(消せない筆記具での書き込みは)一種の破壊行為なんだよね」とボソリと言っていたのを鮮明に記憶しています。どういうわけか。以来、私も本への書き込みは鉛筆かシャーペンに限るようになったとのことです。