面談

 リクナビネクストから「一度お会いしたい」とスカウトメールが来た企業の面談を受けにスーツ着て新宿へ。
 で、最後の方になったら「○○さん、あんまり興味ない……ですか?」と。
 私なりに精一杯の気力でもって相手方の話を聞き、頑張って、ほんとにがんばって心いっぱいの誠意で受け答えをしていたのですが。「……まあ、○○さんまだ若いから色々回ってればきっといいところありますよ(笑)」なんて同情のような諦めのようなこと言われて、「いやあ、もうそんなに若くないですから(笑)」と返そうと思ったけど、実は自分とたいして年は違わないんじゃないかという面接官のそのビジネスマン然とした気迫とか、その「もう若くない」という言葉の辛辣さとかに気が付いて、出かかったものをぐっと飲み込んでしまいました。やっぱり、新宿NSビルなんていう豪奢な場にのこのこ足を踏み入れてしまった自分が間違っていた。出過ぎていました。
 虚無の心のままスーツ着たまま吉祥寺へ立ち寄る。DISK UNIONでたまとパパイヤ・パラノイアのレコード2枚+ZAZEN BOYSの1stを買う。たまの「でんご」とか普通に50%引きで売ってたけど、最近のこっちら辺はそれほど市場がないのかしら?なんて、こんな訳わからんこと言ってるからダメなんだろうなぁ。きっと。
 さんざ慣れない革靴で歩いてやっと家のアパートに着いたら、ドアの前でアブラゼミがひっくり返っていました。しっかりせえよ、と、靴の先でちょんと蹴るとじじじっと鳴いて裏返りました。命の期限を間近に控えながら凝然とコンクリートに這いつくばるセミの堅い背中を見て、涙が溢れそうになりました。