カブトムシ

 30日続き。深夜、カブ子の様子に目を覚まして見ると卵管が出ている。とうとう産卵に入ったかと安心する反面、卵管が体の中にしまえないのではという不安もある。このままでは体力を消耗して死んでしまうらしい。潜ろうと土を掻く手つきに力が感じられない。案じつつ目をつむる。
 一昨日。カブ子が土の中に潜っているようでホッとする。午前中から引っ越し作業。セロハンテープが無いということでコーナンへ買いに行く。Mさん、デカい猫のクッションを見つけて欲しくなって購入。追加の昆虫マットも購入。帰宅してから自分はテレビの裏の掃除を重点的に、Mさんは食器を割れないように紙で包む作業。ひと頑張りして昼食。おにぎりを握って、あとは卵焼きとシャウエッセン。激烈に美味い。引っ越し直前の雰囲気も出てたいへん気持ちが良い。午後も続きの作業。ひと休みしつつ机の整理で出てきたチラシを見ると招待券と割引券のチケットの展覧会が明後日までである。迷ったあげく、まだ間に合うと支度をして家を出る。桜木町の赤レンガ倉庫へ。「シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン展」。これがたいへんに良かった。デザインの美しさに目を開かれた。ショップのグッズも目移りするものばかりで、自分は目録を、Mさんはぬいぐるみ等を購入。迷ったけれど本当に行って良かった。帰ってきて夕食。と思ったらカブ子が土の上でひっくり返っている。ああ、もう駄目か。カブトムシなのだから夏の終わりに最期を迎えるのはしょうがない。そしてMさん、手足にできものが出来て痒いとたいそう気にする。深夜、カブ夫がカブ子の亡骸にしがみついて離れない。哀れである。
 昨日。朝、まだくっついて声を上げているカブ夫を引き剥がしてバナナに近づけると食いつく。どちらにとっても良かった。午前、台所の片付け。いちばん出会いたくなかった物体に出くわしてしまう。ゴミをごっそり捨てる。それから支度をして横浜へ。不動産屋で鍵を受け取る。新居に寄っていこうか迷ったけれど帰路。駅前で今治タオルを500円で購入する。昼食にスパゲティにカレーをかけて食べ、午後から作業。グラス類を引っ張り出して包み直し、ダンボールへ収納。あとはサイドデッキと机の裏を中心に。ものすごいホコリとカビ。敷金の返還に関して大家さんは長いこと住んでくれたからと電話口で好意的なことを言ってくれたけれど、ほとんど返還は諦めている。駅までMさんを迎えに出て買い物をして帰宅。夕食にシメジと小松菜を炒めたけれどやや失敗。もっと飲んで冷蔵庫を片付けるはずだったけれど眠くなって寝る。
 今日。雨降り。でも洗濯をする。さて、本棚の本をばりばり箱詰めしなければならない。当日は午後になると高をくくっていたら午前中になりそうだとのことで少し気合いを入れなければ。あと、筆ペンでタオルの熨斗に御挨拶って書かなきゃな。新居の電話環境がいまいち分からないので次はいつ更新できるか。明日、13年住んだこの部屋から去る。