映画2本と本1冊

 早朝、休日の早起きに相当逡巡しつつ思い切って午前からの外出を決意。新宿へ。アルタ前でいいともの客入りを初めて目にし、午まえの新宿に来たことじたい初めてではないかと思う。
 1本目。「たまの映画」。これはやはり監督の映画だ、という前評判を聞いていたのだけれど、なるほど確かにそうとも思える。だがしかし、たまという対象が圧倒的に魅力的。そして、その各々の演奏がなんといっても素晴らしい。特に知久氏の声には何度も涙ぐんでしまう。また、柳原氏が抜けたくだりで誰もが口をそろえて「ヤナちゃんと知久くんとのコーラスは最高だった」と言うのに心を打たれる。再結成は夢のまた夢なのだろうか。いいドキュメンタリー映画だった。
 間に2時間ほど時間があったので紀伊国屋書店へ。楽しすぎる。こんな魅力的な書店で働けたらなあと。あと、ピクウィック・クラブのフェアの選書にはあらためて驚愕する。
 2本目。「花々の過失」。始まる前のロビーで目にした新聞の切り抜きにおける友川カズキ氏の「映画観たら唖然とした。親子を映画にしてどうするんだって。チケットだけ買って映画は寝てた方がいい」という否定的な内容の発言にいきなりへこむ。だが、映画はその期待と不安のどちらも翻すものだった。確かに息子が登場していた。だが、これは映画作品としては効果的だったのではないか? それによって物語が生まれ、映像作品ではなく、確かに映画になっていたのではないか。なにか重いものを胸に残す幕切れで、良い意味で観終わってしばらく呆然としてしまった。
 帰宅後、一息ついてから本を読む。読み止しの朝吹真理子『きことわ』読了。デビュー作『流跡』のひたすらに詩的な言葉の立ち現れとは異なり、とても良い「小説」だった。これからの作品にもおおいに期待。
 昨日から飲んでいるベルギー産の第4のビールが美味くて安い(330mlが6缶で498円)。今後も店頭に並ぶようならしばらくはこれでいきたい。