今日の話

 まだ窓の外が真っ暗なうちに妙な夢から目が覚めて、布団の中でぼんやりしていると、遠くの方から女性の声が、というか、一人の女性が一方的に声高になにかを騒ぎ立てているのが聞こえる。「〇×〇×じゃないの!!〇×〇×なさいよ!。…。はやくっ!!」寝起きのぼんやりした頭には明らかに知性の欠如したヒステリックな叫び声に聞こえる。とすると、少しの沈黙の後に、突然、……、「キャアアアアアアア!!!!」と、とんでもなく高く大きな叫び声が片方の耳からもう片方の耳へと響きわたる。瞬時に「あ、事件だ」と思いつく。まさに断末魔の叫び。今の女、この世からいなくなったな、と思う。けど、恐ろしいので起き上がることもできない。その後の沈黙が事件性をさらに濃厚にする。ゆっくりとケータイを見ると午前三時五十数分。明日警察がウチを訊ねてきたらこの時間とかをいわなきゃいかんのかなあ、なんて思っていたら、再びさきほどの女の声高の声が聞こえてくる。なあんだ、死んでなかったんだ。そんな話。
 あと、北野誠は言った内容が間違っているかどうかはともかく、「間違ったこと」はなにひとつしていないと思う。