石田徹也―僕たちの自画像―展

 昨日n-291さんのブログでようやくその存在を知り、会期中最後の休日ということで慌てていってきました、練馬区立美術館。石田徹也という人の作品との出会いの詳細については憶えていないのですが、まずネットでその作品を目にして「はぁあ、こういう画を描いていた人がいたんだなあ」くらいに思っていたのですが(おそらくその当時すでに彼は鬼籍に入っていたはずです)なにげなく職場で手に取った遺作集の彼の横顔の写真を見て「あ、そうか、この人は俺だったんだ」とようやく気がつきました。というのも、これまでの人生で自分は誰某に顔が似ていると言われたことはほとんどないのですが、石田徹也氏に限ってはその画家の名前すら知らない友人に「〇〇さんてeastern youthのアルバムのジャケットの絵に似てないっすか?」とかいわれたり、そう、誰よりもぼくは石田徹也という人物そのものに似ているのです(あと名前も)。
 てなことでこの展覧会は見逃せなかったわけで。とりあえず軽く書き留めときますが、石田徹也って人はまずは単純に絵を書くことが好きな人だったんだなあと。90年代の飛行機だとか自動車の描き方(その機械的荒廃の仕方)がすごく魅力的で、その作風がアイデアからイメージへと変わる以前の絵に無性に惹かれました。もちろん、2003年以降の瞳に光が映り、髪に濃淡が出来て、女性や子どもの姿が現れる頃の作品も味わい深いものがあるのですが、どうしてもぼくにはそれらの作品が作家としての発展途上のものに感じてしまいました。逆にいえば、もう少し生きていたらと、その思いを強くするばかりでした。「体液」とか「再生」(だっけか?)とか、あの辺の晩年(といってしまえるのが悔しいですが)の絵は心にぐっと迫るものがありました。図録は敢えて買わずに「体液」のポストカードだけ買って帰ってきましたが、いつか、また、もう一度絶対に彼の絵は見ておきたいなと思います。