開発前夜

 たいへんに不穏な天候の中、雷鳴と雨を傘で避けながら夕暮れの戸塚西口駅前を歩いてみました。明日からの通行止めのチラシがベタベタ貼ってあって、おそらく100店舗近くはあるんじゃないかという様々な小売店の全てが閉鎖しているというある種異様な商店街をうろつき、明日から一切の区間立ち入りが禁止されるとは思えないほどの通勤通学の人の波。横浜の戸塚という町に越してきて僅か二年余りだけれど、この商店街が開発の名の下にぜーんぶブッ潰されるってのはやっぱちょっと思うところがあったりするのです。で、歩いていてふと足を止めてしまったのが商店街の中でもそれでも明らかに新参者であろうミスドの閉店後の店先に掲げてあった一枚の張り紙。工事を施工する方へ、軒先にはツバメの子がいて、おそらく6月10日くらいには巣立つだろうから、どうか、どうか、もうしばらくは巣を潰さずにおいてください、という懇願の一筆。差出人は「ツバメの親」とのこと。明日から自分も通勤通路を変えなくてはいけないのです。(写真は結局一度も入ることのなかったフグ料理屋のもの。)