日本

80年代、90年代と生きてきました。その各10年間を総まとめてというか「○○の80年代」みたいにキャッチフレーズが付けられることがあるけれども、でもここでは80年代はひとまずおいといて、今現在2000年代って一体どんな言葉で表わされるのかなあと考えた時にまず僕の頭に浮かぶのは「ナショナリズム」という言葉であって、「愛国の2000年代」なんて洒落てるんじゃないかなと思います。
サンボマスターってロックバンドがあります。僕も大好きなバンドです。でも、あのバンドで、というかフロントマンの山口隆氏について、どうしても腑に落ちないというか釈然としない思いが一つあるのです。それはやたらに「日本語」ないしは「日本のロック」を強調していること。音楽雑誌のインタビューやTVに出演して当人が語っていることから思うに、山口氏はどうしても「洋楽至上主義」という(幻想の)呪縛から逃れられない、言い換えれば「西洋」に対して大きなコンプレックスを持っているようで、まあそれは山口氏の音楽(ロック)への情熱や深い造詣、知識、先人への尊敬の念から発しているものだろうけど。でも、彼が日本語日本語と殊更に強調する時「もうそんなコンプレックスの表明はいいから」という気持ちと共に、「ナショナリズム」という黒くて大きな人影がにょっきりと顔を覗かせる気がして、僕はゾクッとしてしまうのです。もちろん山口さんがナショナリストだと言うのではサラサラなくて、実際にライヴでは日本どうこうよりもアメリカもイラクもひっくるめた「世界の平和」を叫ぶことがままあるようだし、またサンボマスターの魅力(人気の秘密!)を山口氏のパーソナリティーの反映としてだけで見ることはとても可笑しなことです。でも、「日本」てのはもうそろそろいいよなあという気はいまだにしているのです。